ベネターの快苦の非対称性は、存在しないものへの価値帰属という論理的誤謬に基づき、倫理的にも実践的にも整合性を持たない選択的評価理論です。
苦痛の予防を倫理の絶対価値とし、快楽や他の価値を切り捨てることで、倫理の多元性を否定するこの理論は、最終的に自らの倫理的土台を破壊していく「自己解体的構造」を内包しています。