例えば、医療倫理が「病苦をなくすべき」という肯定的方向を示すのに対し、
反出生主義は「病苦がゼロになることはないから、生まれること自体が悪」という否定的方向を示す。
そうは言っても、人間社会は続くので「苦痛の軽減」という現実的課題は残る。
現実社会に求められるのは、反出生主義の問題提起を踏まえたうえで、「どう苦痛を減らして生きるか」という再構築的倫理だと言える。
しかし、反出生主義はそれを認めないだろう。
「そもそも生まなければいい。地球上に生命体が存在しなければ解決する」という考え方なので、持続可能性を前提に置いた倫理と交わることはない。