>>327
そういうことですね。
解説ありがとう。

ベネターは二重基準批判への応答として、「快楽と苦痛は非対称であり、我々は現にそのように直観している」という循環的な要素を含む主張を行っている。
しかし、ベネター自身が示した無人島の事例においては、無人状態を「良くも悪くもない」とする直観も一定に広く存在すると考えられるが、ベネターは苦痛にはそのような中立的評価を認めず、我々の直観における「中立」を独自の価値論に基づき「良い」という評価へ再解釈しているように見受けられ、恣意性を残す。
その意味で、非対称性論は「ベネター自身の非対称的価値論を前提として非対称性を正当化する」という構造的循環性を含むだけでなく、その正当化の前提となる「広く共有された直観」の適用範囲を十分に論証しないまま普遍化しているという方法論上の問題も抱えている。