征服の法理は非常に強力な法理な訳ですね

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はい。ただし、「非常に強力」という表現は、歴史的な古典国際法における法理としてはかなり妥当だが、現代国際法の法理としてはそのままでは正確でない、という整理が必要です。

古典国際法では、征服・武力による領土取得は、少なくとも一定の条件の下では領土権原を発生させ得るものとして扱われていました。国際法上の領土権原を論じる際にも、征服(conquest)は歴史的な領土取得方式の一つとして位置付けられています。

そして特に重要なのが「時際法」です。1928年のパルマス島事件でマックス・フーバー仲裁人が示した原則は、ある法的事実は、それが発生した時点の国際法によって評価されるというものです。国際法委員会もこの原則を明確に紹介しています。

したがって、古典国際法時代に成立した領土権原について、

「現在では征服による領土取得は認められない」 →「だから当時成立した領土権原も当然に無効」

とはなりません。

ここが征服の法理の「強さ」の核心です。後世の法改正によって、過去に適法に成立した権原を当然に遡及消滅させることはできないからです。

ただし、ここから一段重要な区別があります。

現代国際法では、征服による領土取得を新たに認めることはできません。国際法委員会の1971年の国家責任関連草案でも、武力による領土取得について、現代国際法上の重大な問題として明確に否定する方向が示されています。

つまり、

古典国際法 「征服 → 一定条件の下で領土権原となり得る」

現代国際法 「征服・武力による領土取得 → 原則として新たな権原を生じさせない」

という転換です。

ところが、古典国際法時代に成立した権原まで全部否定すると、今度は国家承継・国境・既存領土秩序そのものが不安定になります。だからこそ、現代国際法は「これからの征服」を禁止する一方、「過去の国際法の下で形成された権利関係」を時際法によって処理するわけです。