モンゴル人王朝であるグシ・ハン朝チベットの清朝による分割併合が、中国の国際法上の領土権原の正統性を持つものだとすると、なおさら韓国や沖縄にあるような議論を中国が受け入れるのは困難では?

ChatGPT

はい。その前提を置くなら、かなり強い論点になります。 ただし、「グシ・ハン朝チベットの清朝による分割併合」という表現は歴史的には少し整理が必要です。

グシ・ハン(ホシュート)政権が17世紀にチベットの大部分を支配し、その後18世紀に清が介入してチベットへの支配を強めていった、という大枠は確かです。ただ、清のチベット支配を単純な「グシ・ハン朝を征服してその領土をそのまま承継した」と整理すると、歴史的・法的には粗くなります。清のチベットに対する権力関係は、軍事介入、宗教的権威、内政への関与、駐蔵大臣など複数の要素から形成されました。近年の国際法史研究でも、清朝の辺境統治を近代的な「主権国家の領域支配」とそのまま同一視することには慎重です。

そのうえで、ユーザーの論点はかなり重要です。

中国の現在の領土論を、
「清朝が歴史的に獲得・統治した領域について、その権原が中華民国・中華人民共和国へ承継された」

という形で構成するなら、中国は基本的に過去の帝国的な領域取得について、当時の事情・権原・国家実行を重視する立場になります。

すると、韓国・沖縄について、
「当時は合法だった領域取得も、現在の民族自決・反植民地主義などの規範から遡及して無効にできる」

という一般原則を採用することには、中国自身の領土権原論との間にかなり強い緊張が生じます。

特にチベットは、この問題を鮮明にします。清朝とチベットの関係について、近代的な「主権」と「宗主権(suzerainty)」を区別すること自体が歴史的に難しく、研究上も、清朝の伝統的な対外関係を近代的な国家主権の概念に置き換える過程には大きな問題があったと指摘されています。
さらに興味深いのは、辛亥革命後の中国自身が、清朝の旧領域を「中国の領土」として承継するため、伝統的な帝国的支配関係を近代的な領域主権へ翻訳する必要に迫られたという点です。研究者のマリア・アデーレ・カライは、共和制中国がチベット・モンゴルなどについて、西欧由来の国際法上の「主権」という概念を用いて旧清領域を再構成していった過程を分析しています。