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リアルシンジ君だった東浩紀

中森 東は浅田さんが編集委員を務める『批評空間』が売り出した批評家なんだから、もうちょっと教育したら。それとも、個人的に迫ったけど、ふられたとか(笑)。

浅田 いや、あれはおニャン子のおっかけで自宅まで行ったような本物のおたくだよ。それに、僕としては過保護に近いくらい面倒を見たつもり。柄谷は「父」だから、「面白いから書け」と言うだけで、書いたものは読まない。それは「父」としてはいい態度じゃない? 
で、僕はいわば「兄」として意見を言って、デリダはラカン-ジジェクの線に近いとか言うからそれは逆なんじゃないかって言ったら、逆であるという本ができたわけよ。それをあれだけ褒めたんだから、本が出た後、批判する権利はあるよね。
ところが、ちょっとでも批判的なことを言うと、ヒステリーの発作が起こるわけ。「こんなに頑張ってるボクをなぜ褒めてくれないの」って。「エヴァ」に出てくるひ弱なガキと同じ。

中森 付き合いきれなくなったんだ。

浅田 彼の方がぼくらを敬遠しだしたわけ。で、今まで年上に褒められようと思って書いてた(って言っちゃうのがすごいけど)のは間違いだった、
これからは年下に向けて書く、と。しかし、その後で年上に褒められだすと……。

中森 筒井康隆とか。

浅田 筒井に褒められたら文庫の解説を書き、山崎正和に褒められたら感謝してサントリー学芸賞をもらい……。
褒めたら喜ぶバカだってわかったから、蓮實重彦も褒めるし加藤典洋も褒めるし。